Vol.62<論文に比べて>|静岡浜松 居藤特許事務所 新着情報
2013/01/17
Vol.62<論文に比べて>
「研究論文と特許明細書は、別物」、「特許の取得は、論文を書くとき以上の労力が掛かった」は、
iPS細胞についてノーベル医学生理学賞を受賞された山中先生のお言葉です。
論文が認められるためには、まずその研究対象の新しさ(新規性)が重要だと思いますが、
特許は、その新しさに加えて進歩性が認められないと取得できません。
従って、特許明細書には、自ずと「進歩性」を認めて貰うための主張が必要になります。
実は、新規性の主張はそんなに難しくないのですが、進歩性の主張が相当に難しいのです。
例えば、発明者が認識している技術上の課題をベースに進歩性を主張しようとすると、
往々にして「この発明は、そのような課題を前提とすれば容易に思い付くから進歩性無し!」と言われてしまうことがあります。
なので、我々弁理士が特許明細書を書くときは、ときとして発明者が認識している課題とは異なる課題をベースに発明を説明することがあります。
それもこれも、特許明細書が、結局は『特許を取る』ための書面だからです。
特許明細書は、技術を説明する書面ですが、それ以前にその技術の特許性をアピールする書面なので、
どのような説明の仕方が客観的に最も特許性をアピールできるかに重きが置かれます。
そのことをちょっと意識して特許明細書を読んで戴けると、特許明細書や技術の見方が変わって新しい技術のタネになるかもしれませんね。
今日は、ちょっとマジメでちょっと弁理士らしいネタでしたね。