Vol.159<強力な特許ほど地味なんです>|静岡浜松 居藤特許事務所 新着情報
2014/10/31
Vol.159<強力な特許ほど地味なんです>
私の発明相談では、相談者が希望される発明とは異なる発明の出願を奨めることがあります。
理由は、そちらの方が強力な権利と成り得るから、です。
例えば、自転車のペダルをモーターで助力する所謂アシスト自転車を初めて発明したとします。
当然、発明したアシスト自転車を出願して権利化することはできると思うのですが、
もし、そのアシスト自転車のバッテリーがサドルを支える棒部材であるシートチューブに設けられているとすれば、
「バッテリーがサドルの下方に配置されている二輪車」で出願することを奨めるかもしれません。
自転車にバッテリーを搭載する場合、サドルの下方にバッテリーを配置するのが二輪車のバランスや使い勝手から考えて理に叶っていると思うからです。
この場合、自転車は必ずしもアシスト自転車とは限らず、電気部品を備える普通の自転車でもいいですね。
もっと言えば、電気バイクや三輪車でもいいかもしれません。
「バッテリーがサドルの下方に配置された二輪車」は、アシスト自転車に比べて地味で華やかさの欠片もない特許かもしれません。
しかし、大きくて重いバッテリーをサドルの下方以外の場所に設置しようとすれば、
現実的な商品として成立させることはなかなか困難になると思います。
現在販売されているアシスト自転車の構造を踏まえると、この権利だけでアシスト自転車の模倣をかなり阻止できそうですよ。