2011年11月アーカイブ

先日の日曜日、弁理士会の公務で静岡市に行く用事があったので、静岡市美術館で只今開催中の「レオナルド・ダ・ヴィンチの美の理想」展に寄ってきました。実は、私はこう見えても美術館好きです。

たくさんの絵があって1枚1枚の絵に感心しきりなのですが、中でも「アイルワースのモナ・リザ」は暫し見入ってしまいました。

あの有名な僅かな微笑みは、こちらに何かを優しく語り掛けているようであって、また、こちらの心の中を見透かしているようでもあり、観ているこちらが目を背けたくなる瞬間もある魅惑の絵(彼女?)です。

芸術は、作者の想いとそれに接した人々の解釈とは必ずしも一致しないもので、それぞれ自由な印象や解釈を持てばよいものだと思います。

しかし、我々弁理士の書く特許明細書は、人によって解釈が異なるものであってはいけません。可能な限り意味が一義的に定まる文章や図面を心掛けなければ、後々無用の紛争の種になってしまいます。

一見、自由に書いているように見える特許明細書ですが、これはこれで中々奥深く難しいものなのです。

美術館からの帰り道、弁理士と芸術家は両立しそうにないな、と自分の美的センスのなさを弁理士のせいにする私でした。

商標の類似は、原則として「称呼」・「外観」・「観念」の3要素で判断します。

称呼」とは、その商標の読み方です。ちなみに図形商標の場合にも、その図形から称呼が生じ得ます。例えば、トラの図形からは「トラ」や「タイガー」などの称呼が生じます。

外観」とは、その商標の見た目です。この場合、ひらがな・カタカナ・漢字・ローマ字は相互に外観が異なるものと判断されます。

観念」とは、その商標から生じる意味や内容です。例えば、「王様」と「キング」は、称呼や外観は異なりますが意味は同じです。

商標出願の審査や商標権侵害時において商標の類似は、「称呼」・「外観」・「観念」のいずれか1つが同一であれば両商標は全体として原則「類似」と判断されて、出願の拒絶や商標権侵害を構成します。

しかし、これはあくまで原則で、最終的には上記3要素を含めて商標全体から総合的に判断されます。つまり、上記3要素のうち同一のものがあっても「非類似」と判断される場合があるということです。

特に商標出願の審査においては、上記3要素を機械的に判断して出願を拒絶することが多いですので、このような拒絶を総合的見地から覆すことが出来るか否かが弁理士としての腕の見せ所なのです。

 

下記日時に、はままつ産業創造センターにおいて弁理士相談会の相談員を担当致します。

開催日:平成23年11月22日(火)

時 間:13時30分〜16時30分

相談は、予約者優先ですので、はままつ産業相談センターにお申込み下さい。

費用は、無料です。

知的財産についてお悩みの方は、是非、一度弁理士相談会をお試し下さい。

ご参加をお待ちしております。

まとまった数の特許出願がままならない中小零細企業様が特許自体で儲けることは困難だと思います。

それよりも、ご自身の本業で儲けるための道具として活用されることをお奨め致します。

具体的には、現在受注されている商品や製品を今後も安定的に受注し続けるための誘因源として利用したり、自社商品の開発によって受注型体質から抜け出して一身独立の拠り所として利用したりする活用が大変効果的です。

また、特許は必ずしも特許権まで取得しなくても本業で儲けるための道具として充分活用することができます。

要は、本業で儲けるために特許制度が外部(世間)に向ってまたは内部(自社内)に向って作用する影響力を上手に利用することが大切なのです。

先日弊所に届いたある案件の特許登録証、実は出願から5ヶ月弱で特許が認められたものです。

早期審査を利用すると拒絶理由通知を1回受けても5ヶ月程度で特許を取得することが可能です。

クライアントの社長様にも大変喜んで戴き、私としても二重の喜びです。

ちなみに、弊所で審査請求日から特許取得日までの最速は3ヶ月です。

特に中小企業にとって出願や審査請求の日から数ヶ月で特許が取得できる意義は大変大きいものです。

但し、特許には、審査(決着まで)にできるだけ時間を掛けた方が良い場合もありますので、事案ごとに状況に応じて使い分けたいですね。

来る11月10日(木)、静岡県立浜松工業高等学校・デザイン科の生徒さんを対象に知財授業を行ないます。

テーマは、「意匠法・商標法」です。

今回は、特に出願方法、出願手続きおよび出願の流れについて実技も交えながら詳しくお話し致します。

居藤特許事務所では、学校での知財教育にも積極的に協力させて戴いております。

これまで、下記学校での実績が御座います。

国立大学法人静岡大学

静岡県立引佐高等学校

滋賀県立八幡工業高等学校

滋賀県立安曇川高等学校

知財授業をご希望の方は、こちらからお問合せ下さい。

 

私が相談に応じるとき、意識して使っているフレーズがあります。

「勝負はこれからです!」

相談者の方の気力が萎える内容、例えば、

特許庁から拒絶理由通知が来てしまった、

一世一代の発明をしたのに既に出願されていた、

新商品を開発したけど特許権や商標権が存在していた、

警告書が届いた、などの場合、特に多用します。

これは、相談者の方に、先ずは安心して戴いてリラックスした状態で相談を進めるためなのです。

これにより、私一人では浮かばない名案が飛び出すんです。

しかし、先日戴いたご相談は少々複雑な内容で思わず考え込んでしまって、不覚にもいつものフレーズを使うことを失念しておりました。

すると、お客様の方から、「いつものアレを言って下さい!」とのリクエスト。一瞬何を言われているのか分かりませんでしたが、「先生に、アレを言って貰うとすごく安心してやる気が出てくるんです」とのこと。

我々専門家は、問題解決が最重要ですが、それよりも先ず、お客様の心を落ち着かせて安心して戴くことが先決なのです。

まだまだ、修行が足りませんなぁー。

月初め早々、意匠の「登録査定」を戴きました。

なんか最近、意匠の審査が早くなってきている感じがします。今回の案件は、出願から3ヶ月程度での登録査定です。その前の案件も5ヶ月程度。いずれも、早期審査は利用してません。それだけ、斬新なデザインであったとも言えるのかもしれませんが、それにしても少々早い。

正直、あまりに早過ぎて、案件が思い出せませんでしたよ。

これまで意匠の登録には通常の審査で10〜12ヶ月程度掛かる旨を事前説明していたのですが、これだけ差があると事前説明を改めないといけませんね。

以前、発明相談会で、「意匠登録には通常審査で10ヶ月程度は掛かります」と説明したとき、なぜか私が「お前ら特許庁の怠慢だ!」とお叱りを受けたことがあります。

でも、これだけ審査が早くなれば、今後は叱られることはなくなるかもしれませんね。

特許庁様、ありがとう!

最後に、真面目な話しを、

これだけ意匠審査が早くなれば、外観に特徴のある商品の早期保護が叶うため意匠制度を特許の補完の意味も含めてもっと活用しても良いかもしれません。また、審査が早いため、秘密意匠制度の利用も事前検討しないといけないですね。

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